ペットの病気図鑑

あなたのペットと見比べてみませんか?

発作のパターンはたくさんある、『てんかん発作の様子』

f:id:otahukutan:20190615113029j:plain

文:オタ福

今回は『てんかん』について複数の症例を動画でご紹介していきます。
てんかんとはてんかん発作が繰り返し発生している状態を示しています。
てんかん発作とは大脳の過剰な興奮によって起こるとされています。過剰な興奮によって起こる『てんかん発作』ではどのような症状が見られるのか考察していきたいと思います。

 

【目次】

 

【てんかんとは】

まず簡単にてんかんについて説明していきます。
冒頭でもご説明しましたが、てんかんとは慢性反復性にてんかん発作が生じている状態を指し、てんかん発作は脳の過剰興奮に由来する発作です。

f:id:otahukutan:20190613143827p:plain

【図1】てんかんのイメージ

『犬猫のてんかん』について詳しい解説はこちら↓↓

www.otahuku8.jp

 

『てんかんの分類』

てんかんはその発症原因によって『真性てんかん(別名:特発性てんかん)』『症候性てんかん(別名:二次性てんかん)』に大別されます。

真性てんかんとは
真性てんかんとは脳に構造上の異変が認められない場合のてんかんを言い、若齢(一般的には5歳以下)で発症します。
MRIなどで検査を行っても異常が見当たらず、発作時以外は麻痺や意識混濁などの神経学的異常が見られないのが特徴です。

症候性てんかん
症候性てんかんとは脳に構造上の異変が認められる場合のてんかんを言い、若齢でも高齢でも発症が認められます。
MRIなどで検査を行うと何らかの異常があり、脳に異常があるため、発作時以外でも神経症状が認められるのが特徴です。
症候性てんかんの原因となるのは
・脳腫瘍
・炎症性疾患(パグ脳炎など)
・脳挫傷
・水頭症
・脳の奇形
などたくさんの原因があります。

f:id:otahukutan:20190613143856p:plain

【表1】真性てんかんと症候性てんかんの違い

『てんかん発作の種類』

部分発作(焦点性発作)
部分発作とは大脳皮質の神経細胞が局所的に過剰興奮した状の発作を指します。
特徴としては意識の消失はみられず、過剰興奮を示した神経細胞の場所に一致した臨床症状が見られます。
例えば、脳内の顔面を動かす神経が過剰興奮した場合、顔面がピクピクと引きつったりします。当の本人はなぜ引きつっているのか分からず、戸惑っている様子が見られる場合もあります。

全般発作
最初から一気に脳全体が過剰興奮する発作を指します。
神経細胞の過剰興奮が脳全体で発生するため、意識は保たれていません。
動物で見られる発作はこの全般発作が一番多く、中でも強直間代性発作はよく見られる発作です。
ちなみに部分発作の延長で全般発作が起こる二次性の全般発作もあります。

【典型的な全般発作】 

【動画1】強直間代性発作

強直間代性発作は全身の筋肉のツッパリが認められる「強直期」を経て、筋肉の収縮と弛緩が交互に繰り返される「間代期」へ移行していく発作です。

強直期
強直期では手足がピーンと突っ張って、ガチガチガクガクと小刻みに震えます。

間代期
そして、間代期ではバタバタと泳ぐように手足を振ります。

なので、強直間代性発作が見られた際、飼い主さんはよく
「ガクガクと全身を震えさせ、その後泳ぐように手足をバタつかせ、しばらくしてから落ち着きました。」
と仰られます。
全般発作が見られる時、本人は意識を失っていることも多く、声をかけても反応しないです。

本症例は慢性腎不全を持っていることから、検査のために全身麻酔をかけることが困難だったため、MRI検査を行なっていません。
おそらく脳腫瘍があったのではないかと獣医師より仮診断を受けています。

【見落としがち、軽度なてんかん発作】 

【動画2】 軽度のてんかん発作

本症例は飼い主さんが【動画2】を獣医師に見せたところ、

「たしかにこれはてんかん発作だと思います。でも軽度で飼い主さんが言うような頻度であれば、薬は必要ありません」

と指示された症状です。
意識はあるものの、急にぼーっとしてしまう場合、こういった軽度のてんかん発作が起きている可能性があります。
よくペットを観察していないと発見できないぐらい軽度な異変です。 
本症例もMRI検査を受け、特発性てんかんだろうと診断を受けています。
 

【意識がある、焦点性発作】 

【動画3】焦点性発作

『本当にてんかん発作なのか』

本症例は真性てんかん(特発性てんかん)の焦点性発作だと診断された症例です。
飼い主さんよりこれを初めて見せて頂いた時、僕は前庭疾患によってバランスが取れなくなっているのではないかと思いました。
実際、本人は意識がしっかりしており、右側に倒れそうになっているのを踏ん張っているようにも見えます。

しかし、本症例は神経病の専門病院でMRI検査とCSF(脳脊髄液)検査を受け、特発性てんかんと診断を受けています。

『本症例から学ぶこと』

動画による症状ではバランスを崩しているようにも見え、前庭疾患を疑ってしまいます。
しかし、前庭疾患のように常にバランス失調が起きているわけではなく、症状が現れるのは数十秒〜数分の間のみです。動画の終盤では小走りで飼い主さんの元へ向かう姿が撮影されています。

本症例から学べることは『検査をちゃんと行うべき』ということです。
MRI検査を行えば、たいていの脳の疾患を見つけることができます。
ちゃんとMRI検査を行い、脳に構造的な異常がないかを精査することで、てんかん発作かそうでない別の病気かを鑑別できます。

【最後に】

今回は「典型的なてんかん発作」、「軽度で見落としがちなてんかん発作」、「意識がある焦点性発作」の3つをあげて紹介しました。
てんかん発作が起こる原因はたくさんあります。
きちんと検査を行い、病気が原疾患として存在する症候性てんかんであったなら、発作を引き起こす原因を治療していくようにします。
一方で、
原因不明の特発性てんかんであれば、脳のダメージを抑えるために抗てんかん薬を飲んで対処していくべきです。

【謝辞 -動画提供者さんのご紹介-】

『動画1の提供者さん』

Aliceさん
ジュディちゃんの飼い主さん
Twitter:

ジュディちゃん

f:id:otahukutan:20190614192940p:plain

「Aliceさんが運営するブログ」

ameblo.jp

『ジュディちゃんの他の図鑑』

petzukan.hatenablog.com

petzukan.hatenablog.com

『動画2の提供者さん』

Rikkaさん
龍馬ちゃん(チワワ)の飼い主さん

Rilkkaさんのツイッター

龍馬ちゃん

f:id:otahukutan:20190614192815p:plain

『Rikkaさんのブログ』

riro-chihuahua.hatenadiary.jp

『Rikkaさんの闘病記事』

www.withdog.site

「龍馬ちゃんの他の図鑑」

petzukan.hatenablog.com

 『動画3の提供者さん』

makiさん
ノアちゃんの飼い主さん

ノアちゃん

f:id:otahukutan:20190615112402j:plain
 

【関連記事】

www.otahuku8.jp

 

 

【飼い主さまへ、お写真大募集中です!!】

「うちの子も図鑑にしてほしい」
ご協力頂ける飼い主さまを大募集中です。

現在、写真を大募集中です!!
【条件】
・獣医師により診察を受けたもの(←オタ福から診断しません)
・ある程度、経過を覚えている
・どんな病気かは問いません
です。

内臓疾患などで、「見てわかる症状が無いよ〜」っていう方も一度、ご相談ください!!

ご協力頂ける方は、こちらまで〜↓↓

写真提供のお願い - ペットの病気図鑑

 

【病気の徹底解説は『オタ福の語り部屋』まで】

オタ福の語り部屋では『獣医学の追求』をスローガンに徹底的に病気を解説しています。ぜひ、遊びに来て下さい。

www.otahuku8.jp

 

【病気の個別相談は『オタ福の質問箱』まで】

かかりつけ医がいる飼い主さん限定で個別に相談を受け付けています。

「うちの子、似たような病気かも…」など

学生の身分であるため診療行為は行えませんが、主治医の診断や処方された薬の補足説明や助言、オタ福の見解などご説明いたします。
是非ともご利用下さい!!

forms.gle