ペットの病気図鑑

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猫の体表にできる肥満細胞腫

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文:オタ福

本症例は両耳にできたデキモノを病理検査に出した結果、肥満細胞腫であると診断された猫ちゃんです。
猫の場合、体表にできる腫瘤の中でも肥満細胞腫は2番目(約20%)に多い腫瘍とされており、頻繁に発生が認められる腫瘍の1つです。

 

【目次】

 

【本症例の情報】

動物種:猫
品種:mix
年齢(発症時):7歳

【体表にできる肥満細胞腫とは】

猫の体表肥満細胞腫とは
肥満細胞腫は文字通り肥満細胞が腫瘍化(がん化)したもので、体表にできやすい腫瘍として有名です。猫の体表にできる肥満細胞腫のほとんどは高分化型と言われ、良性の腫瘍です。好発品種はシャム猫です。

2つのタイプ
猫の体表にできる肥満細胞腫の外見的特徴は2つのタイプに分かれます。
①孤立性皮内結節型
・色:赤い
・形状:脱毛、時に潰瘍を伴う
・大きさ:0.2~0.3 cm

②多発性表皮結節型
・大きさ:0.5~1 cm
・特徴:自然に小さくなる
となっています。

犬の方が中心になっていますが、肥満細胞腫に関する詳しい解説は『オタ福の語り部屋』にて解説しています。
ぜひ、ご参考ください。

www.otahuku8.jp

 

【発見時の写真】

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【写真1】左耳介にデキモノを発見

飼い主さんが左耳に径1~2mmのとても小さなデキモノが確認されました。
脱毛と若干の赤みを持った小さな腫瘤です。

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【写真2】同じようなものが右耳にも発見されました

猫の体表肥満細胞腫は耳にできることが多いのでしょうか?専門書を読んでいても例に出てくる写真は耳にできていることが多いです。
筆者は本症例のような外見をもつ肥満細胞腫を見たことがなく、こういったパターンをあるのだとしっかり頭に入れました。

【本症例とは異なるタイプの腫瘍】(閲覧注意)

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【写真3】自然退縮型の体表肥満細胞腫
引用:Stephen J. Withrow ; David M. Vail ; Rodney L. Page : Withrow&MacEwens SMALL ANIMAL Clinical Oncology. 5th ed.,  ELSEVIER, 2013, 347p Figure20-10 より抜粋

本症例とはタイプが異なるが、写真3のようにこういった赤色ドーム状の大きな腫瘤を作るタイプの肥満細胞腫もあります。

 

【手術後の様子】

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【写真4】手術後の様子

手術では腫瘤部分だけを切除したそうです。

通常、肥満細胞腫の治療はマージン(腫瘍と正常組織の境界)をしっかり確保して、切除を行います。ただ、顔まわりや耳の根元など、正常組織を含めてガッツリ切除することができない場合もあります。

本症例では飼い主さんのご希望により、できる限り耳を温存する手術を選択されました。

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【写真5】包帯を外した様子
左耳は数針縫ってます。

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【写真6】正面から見た様子

前から見ると左耳が反っているように見えます。当の本人は全然気にしていないようですね。

【左耳の腫瘍が再発し、再手術】

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【写真7】再手術後の写真

今回は耳介を正常組織を含めてしっかりと切除しています。外科手術を行う際、最も重視するべきことは腫瘍組織を全て取り切ることです。

正常組織との境目ギリギリを攻めて切除したとしても、腫瘍細胞がちょっとでも残存すればそこからじわじわと増殖を繰り返し、再発に繋がります。

2回目の手術のようにしっかりと切除することは猫ちゃんのためにも大切なのです。

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【図1】皮膚肥満細胞腫の治療の流れ

低グレード=高分化型
高グレード=低分化型
に該当します。腫瘍は分化度が高いほど、良性として考えられています。
ややこしいですが、間違えないようにして下さい。

【手術から半年経った今は…】

猫の肥満細胞腫のほとんどは高分化型と呼ばれ、良性の経過を辿ります。転移は少なく、一度しっかりと切除すれば、完治することも多々あります。

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【写真8】手術から半年経った今

手術後は2ヶ月に1度の頻度で、エコー検査をしているそうです。次回からは3ヶ月おきになったと経過診察の間隔が伸び、順調に快方へ向かう結果に飼い主さんの安堵の様子が垣間見られました。

手術から半年経った現在はご覧通り再発もなく、漢方薬を服用するのみで健康に暮らしているそうです。
良かったですね。
頑張ったね、ニャンちゃん!!

【謝辞 -写真提供者さんのご紹介-】

かおてぃるさん
ニャンちゃんの飼い主さん

ニャンちゃん
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Twitter:

『かおてぃるさんのブログ』

nyankadi.hatenablog.com

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